無題1

自分は幽霊だ、と言う少女に出会ったのは××××ほど前のことだ。

私が彼女に名を問うと、彼女は「名前はありません」と答えた。「名前がないから、幽霊なのです。あなたも同じでしょう」そう言って少女は笑った。

そうだった。私も幽霊だったのだ。幽霊と会話できる存在がいるとしたら、その存在も幽霊なのである。今の私のように。

「それでは行きましょう」

彼女が言うので、私もついていく。少女の足取りは軽く、まるで生きているように見えた。どこへ行くのかと尋ねた私に、少女は足を止めて振り向いた。

「どこへでも行くことはできます。あなたの行きたい場所はどこですか?」

私はしばらく考え込んだ。私はどこに行こうとしていたのだろう。ここはどこだろう。なぜ私はここにいるのだろう。

ただ立ちつくす私は、少女の暗い瞳を見つめるしかなかった。

「××××へ行こうと思っていたのではないですか?」

解答を出したのは少女だった。その言葉を聞いてようやく、私は自分の役割を知った。

そうだ。私はそこに行こうとしていたのだ。どうして忘れていたのだろう。こんなに重要な事柄を、私が生きて存在する意義を。

忘れてはいけないことだったはずなのに。

「では、もういいですね」

少女は嬉しそうに微笑んだ。私は頷いて、彼女に感謝の言葉を述べた。

「さようなら」

少女は消えて、私は残された。彼女は彼女の場所へと戻ったのだろう。私が私の場所へ戻ろうとしているように。

空から白いものが落ちてきた。たくさんの、小さな、不安定な、水の結晶。

それらは地表に落ちて消えゆく。

時空に溢れている奇蹟の一つだった。この世界には奇蹟がありふれている。私はずっと立ち止まっていた。時間の経過は意味をなさなくなっていた。

綿を連ねるような奇蹟は後から後から降り続く。

これを私の名前としよう。

そう思い、思ったことで私は幽霊でなくなった。

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